仕事で以前対応した件で再度お客様から依頼が来た。大抵そういうときは、以前の説明に納得がいってなくてまたかけてくるパターン。
事前情報ですごーく年配だけどめちゃくちゃしっかりしている人だからキチンと説明しなきゃダメよと聞いていた。
覚悟をして電話してみると、案の定「えっ?こんなことまで言われる?」と思うほど激しい言葉をいきなりかけられる。この歳でこんなことまで言う?と思うほどキツイ物言いだった。
心が折れそうになりながらも、それでも「お言葉を返すようで恐縮ですが」とやや反論もしつつ・・
それがなんの拍子がよくわからないのですが、ある一つのことを説明したらそれがストンと腑に落ちたようで、態度が急変した。
急に優しくなり、所謂世間話に突入した。
とても途中で話を遮れる状況でもなくなんとなく話を聞いていると、思いの外いい話だった(笑)
おそらく何か会社を以前は経営していたであろう人で、かつての従業員や証券会社に騙された話。
もうかなりの高齢なので「もう少しお子さんに甘えてもいいんじゃないですか?」と言うと、「そうみんなから言われる。息子からも言われる。嫁もいつでも来てくださいと言う。嫁とは喧嘩もしたことない。でもいいのは最初だけ。やっぱり5ヶ月も6ヶ月も経つとお互い不満が出るから」と。
そう言って最近まで入院していたにもかかわらず、家事一切をひとりでこなし、買い物、病院なども子供の手を借りず何とか自力で行っているとのこと。
そのかわり身体は鍛えているし、身の回りのこともキチンとしている。
天国に行く日が来た時のために、美容院にはお金をすでに払い、どの季節に亡くなってもいいように着物を季節別に用意している。
連絡をしてほしい人のリストも、もちろん遺影もバッチリ準備済みとのこと。
他にも色々聞いたけれど、本当にちゃんとしている。今回の件でも何人も担当が変わったけれど、誰とはこんな話をしたとキチンとメモに残している。
確かにこんな人がお姑さんなら私は辛いけど(自分がちょー適当な人間なので)、師としては素晴らしいなあと。
私も出来るだけ子供に迷惑をかけないように死んでいきたいので見習いたいと思いました。
その方が、ご主人が亡くなった時に着物を着せたという話をして「スーツを着せる人多いけど、あの世でも仕事してっていうようで可哀想じゃない。散々頑張って働いてきたのに」と言った時には思わずうるっと泣きそうになりました。
そんな雑談で最後は終わったんですが結果報告を記入する時、私のどの説明で納得してくれたのかもよく分からず、どうして急に態度が軟化したのかも手応えもなく・・何て書いていいやら
次にまたかかってきたら、私の記録を読んで「前の人は何を話したの?」と思うだろうなあ。
でも最後には大河小説を一冊読んだような気分になり、色々考えさせられました。
人間相手の仕事ってこれだから面白いですよね。
メンタルやられることの方が多いけれど、怒っていた人を懐柔できたら達成感たまらないです。